“祭壇”とは“神聖な祈りの場”のことです。
これらは魔法の流派によって考え方や決まりが異なります。
聖女が属する“ラヴェデン”の流派では
祈りの魔法を行う特別な場所として一人一つ持つことが教えです。
祭壇はあなた自身の“魂”の場であり
あなたにとっての神聖な存在や神々と絆を持つ場として作り上げます。
厳密にいえば祭壇の置かれる方角や
祭壇上のマテリアの位置も流派によって細かく決められている場合もあります。
とはいえ人によって作れるスペースなどには限りがあります。
ラヴェデンではあなたが自身と対話し、この場所に置くべきだと直感的に思う場所で構いません。
神聖な存在はあなたの祭壇の質や配置、大きさで力を貸す
貸さないを判断することは決してありません。
大切なのはあなたが自身の直感と感覚に従って
愛を持って祈りの場を作り上げたかどうかです。
なぜ祭壇が必要なのか?
まずはじめに魔法道具や魔法に使う材料のことを“マテリア”と呼びます。
魔法を使う時、祭壇がなければ魔法を使うことはできないのでしょうか?
実は、祭壇がなくとも魔法を使うことはできます。
ではなぜ数多くの入手が難しい道具を集め
スペースも必要な祭壇をつくるのでしょうか?
あなたは幼い頃に“ごっこあそび”をしたことはありますか?
床を花畑だと想像したり
実はここはお城で、私は一国の王女なのだと想いを巡らせたり
指先から魔法の光がはじけるのをイメージしたことはありますか?
これらは極端に言えば魔法の基礎である“視覚化”です。
実は、この視覚化で祭壇を作り上げることが出来るのなら
物質的には必要ありません。
どういうことでしょうか?
魔法は“エネルギー”です。
私達の周りにある家具や食べ物、花々は全てエネルギーの結晶です。
つまり視覚化によって
その場に存在するようにエネルギーで祭壇を作り上げればいいのです。
しかしこれには相当な集中力を必要とします。
魔法の儀式を行いながら
あなたは燭台やベル、コルドロンやアサメイといった数多くのマテリアを視覚化し続けねばなりません。
まぁ!これは大変。
そこで、あなたが儀式に没頭できるように
物質として存在する道具達に手伝ってもらうため
祭壇を作り上げるというわけなのです。
もちろん最初から全てを揃える必要はありません。
これはあなたの成長と共に作り上げてゆくのです。
では実際に祭壇には何が必要なのでしょうか?
1.コルドロン‐大釡
2.アサメイ‐短剣
3.ボーリーン‐切り物
4.ワンド‐杖
5.チャリス‐聖杯
6.香炉
7.楽器
8.燭台
9.星の書
10.皿
11.その他
険しい顔になりましたか?
大丈夫です。
慣れれば全てのマテリアを覚えることが出来ますし
お砂糖やミルクをお料理に使うように使いこなせるようになるでしょう。
祭壇マテリアは集めるのは大変ですが
自身の祭壇を考える時間や選ぶ時間は特別で魔法そのものです。
わくわくしてきましたね!
あなたが頷いていると信じています。
それぞれが象徴するエレメントがあるとされますが流派によって異なります。
では早速、私達の流派“ラヴェデン”の教えとしてそれぞれの説明に移ります。
1.コルドロン‐大釡
魔法を象徴する大釡は一般的には“水”のエレメントであることが多いです。
ラヴェデンでは
死と再生を司るとされ
“大地”から授かったものを入れ
“水”によって混ざり合い
“火”が神聖なものへと生まれ変わらせる
“神性”を込めて調和させる
大地から授かるハーブや食べ物を入れることが“土”の元素を
それぞれのエネルギーが水によって溶けだし混ざり合うことで“水”の元素を
炎によって神聖な力が加わり魔法を目覚めさせることが“火”の元素を
自身の持つ“神性”と調和させる霊的なエネルギーが“風”の元素となり
4つの元素を取り入れるコルドロンは“魔法”そのものを表しているのです。
大釡のイメージが強い魔女の間では3つ足のものが伝統です。
聖女の流派“ラヴェデン”では
一つは“愛”
一つは“魂”
一つは“生命”
一つは“神性”
として4つ足のコルドロンも使用されます。
3つ足でも4つ足でもあなたの心に触れるものを選びます。
材質は必ず耐熱性があるもの選んでください。
儀式や魔法で火を焚く際に使用されます。
蓋つきのものが安心です。
大きさは15cm~20cm前後のものだと
水や、キャンドルを入れたり、火を起すのに安全で
ほとんどの場面で使用でき便利です。
コルドロンは現代では入手が難しく高価です。
しかし、本格的に魔法を学びたい方にとっては一つの課題として探し出すことも大切だと感じています。
とはいえ、現実的にこの課題に取り組むには覚悟が要り
多くの方に魔法に触れてもらいたいという想いもありますので
コルドロンは耐熱性の容器であれば代用できるという事もお伝えしておきます。
2.アサメイ‐短剣
アサメイとは魔法用の短剣のことで
装飾がついたものからシンプルなものまで様々です。
魔法円や祝祭、儀式で主に使われるマテリアとして
一般的には風や火に属するとされます。
ラヴェデンでは“風のアサメイ”として扱います。
これは儀式で魔法円を扱う際やエネルギーを扱う用途として使用するため
霊性を司る“風”のエレメントに属します。
切れるアサメイを扱う事は稀で
わざと刃こぼれさせたり、切れない刃のものを使う場合がほとんどです。
そのため極端に言えばペーパーナイフでも問題がありません。
アサメイの材質は金属や石などを基本とし
真鍮、シルバーや水晶やセレスタイト、黒曜石など数多く存在します。
レジンやプラスチック製のものはラヴェデンでは避けるようにしています。
プラスチック製などは自然由来の素材ではないためです。
マテリアのデザイン性は祭壇同様
扱う聖女の魂を表すので自由に自身が気に入ったものを使用します。
伝統では黒い柄がよいとされ
黒という色には魔力を蓄積する力があり
マテリアや魔法へ魔力を充填する際に使われる場合があります。
3.ボーリーン‐切り物
ボーリーンとは魔法作業用の切れる刃物のことで
伝統ではアサメイは黒い柄、ボーリーンは白い柄として扱われます。
ラヴェデンではナイフでなくとも良いとしていて
ハサミなどを扱う場合もあります。
材質もアサメイと同じくプラスチック製などを避け
デザイン性は自身の感性を働かせます。
ボーリーンはキャンドルにシジルやルーンを刻んだり
ハーブを切り取ったりするのに使われます。
祝祭では使用しますが
儀式では使用することがありません。
4.ワンド‐杖
皆さんお待ちかねのワンド‐杖は“風”や“火”のエレメントに属しています。
ラヴェデンではワンドが“アグレッシブな陽”のエネルギーを持つ
男神の象徴であるとされることから“火”のエレメントと結び付けています。
ワンドは魔法円を描いたり、空中にシジルやルーンを描いたり
ストーンサークルを起動させたり
魔法を指揮するためのものとして用いられます。
自身の持つ魔法のエネルギーを杖を通すことで集約させ、より扱いやすくし
エネルギーを正確にマテリアなどに付与することが出来ます。
杖は、魔法の杖の専門店などで職人と共にオーダーメイド品を仕立てる方法や
角材、枝などからボーリーンを使って自身で削り出す方法など様々です。
杖に使用する木材によって得意な魔法や個性が存在するため
自身のエネルギーや性質に近いものを選びます。
お気に入りの杖材を選んだら自身のエネルギーを流し込み調和するか確認します、調和する場合はあたたかなエネルギーが返ってくる場合や幸せな気持ちになるなどの反応が見られます。
逆に違和感やチクチクするなど
痛みを感じる場合は他の杖材が向いていることを知らせています。
杖の契約の儀式を行い
自身の杖として聖別を行えば魔法の杖としてあなたに力を尽くしてくれるでしょう。
⋆魔法聖別とは
神聖な存在から祝福を受け
マテリアを魔法にのみ使用すると定めることで日常から切り離し
神聖なものとすること。
5.チャリス‐聖杯
豊穣と女神を表すこの杯は儀式の際に
水やワイン、果実ジュースなどを入れるのに使われます。
このマテリアは“水”のエレメントに属し
タロットカードの4スートの一つである“カップ”と言えば分かりやすいかもしれません。
水のエネルギーは流動的であり受動的、感情や愛情を司ります。
自身の霊性で杯を満たすとして空で祭壇に置かれることもあります。
素材は石やシルバー、陶器、ガラスなどが好ましく
他のマテリアと同様、プラスチック製などは自然由来の素材ではないためラヴェデンでは避けています。
カラーは自身の霊性が高まると感じる色で良く
伝統では女神の色として“銀”が使われることが多いです。
6.香炉
香炉は魔法を使う上でとても重要です。
儀式や瞑想、魔法を学ぶ際に“インセンス”つまりお香を焚くために使用します。
揺らして煙を広げる振り香炉や蓋つきの置き型の香炉など様々な形が存在します。
耐熱の容器に灰を敷いて
その上に炭を置けばパウダータイプのインセンスを焚くこともできますし
炭を使わず火を灯したコーン型やスティックタイプのインセンスを立てることも可能です。
香炉の素材は様々で耐熱性であれば灰を敷くことで香炉として使用できます。
インセンスの魔法儀式を行う場合だけでなく
普段から自身を清める際やマテリアを清めるために浄化効果のあるインセンスを焚く際に重宝します。
7.楽器
楽器は奏でる音の力でその場や人を清めることが出来る力を持ちます。
また神聖な存在を招く際にも使われます。
手軽な楽器で言えば“ベル”でしょう。
これは儀式のはじまりや終わりを告げたり、歌の魔法等に使用されます。
得意な楽器があればそれを使用しても構いませんし
自身の性質や相性のいい楽器を用いればより効果的です。
魔法のエネルギーを音に乗せることで様々な効果をもたらすことが出来ます。
8.燭台
燭台は祭壇を照らすため、キャンドルの魔法を行うために必要です。
魔法を行う際、魔法に対応した色のキャンドルを使うことで
より効果を高めることが出来ます。
その際に安全のため、燭台やキャンドルホルダーを使用します。
電気の光は儀式時には明るすぎたり、瞑想や集中を妨げる場合があるため
キャンドルの灯りによって手元を照らしたり、祭壇を照らし集中力を保ちます。
キャンドルは神聖な存在への捧げものとして灯したり
日々の生活の中で使用する機会が多いため
燭台があると大変重宝します。
燭台は耐熱性のあるものや真鍮製のものなど
自身の祭壇に合わせて材質や形を選んで問題ありません。
9.星の書
魔法使いや魔女の間では自身の魔法レシピや学びを書き記す
“影の書”というものが存在します。
星の書もそれと似たものです。
自身の祈りの言葉や魔法のレシピ、その魔法の効果への研究結果
想いを綴ります。
これは自身の神聖な魂の書です。
安易に他人の手に渡らぬよう大切に管理してください。
あなたの魔法を悪用するものもいるかもしれません。
そうなったら怖いですよね?
少しだけ危機感を高めておきました。
祭壇と同じように自身の鏡のように材質やデザインを選んで構いません。
手作りでも購入しても良いです。
大切なのは星の書があなたの第二の祭壇であり
あなた自身の輝きを積み重ねた神聖なものであるという意識です。
あなたの成長を振り返る手段であり
未来に残す貴重な財産なのです。
あなたの子供が受け継ぐかもしれませんし
貴重な学問の参考書として魔法研究の要となるかもしれません。
この書は“風”のエレメントに属します。
10.皿
皿?と不思議に思うかもしれませんが
とても大切な役割があります。
祭壇に塩や供物をささげる際に使用されます。
祭壇上に“水”と“塩”があることで生命のエネルギーをもたらすとされます。
塩は最低月に1度変え、供物をささげる際は
光の粒となって立ち上り
あなたにとっての神聖な存在に捧げるという視覚化をしてください。
素材は木製のものや陶器、ガラスなど好みで使用できますが
鉄製は塩を置くと錆びてしまうため避けます。
11.その他
これらは祭壇上に必ず必要ではありませんが
あれば大いにあなたの力になってくれるもの達です。
また、魔法を行う際に便利なマテリアもご紹介します。
クロス
テーブルを覆うための布です。
その場を神聖な場とするために用います。
また野外で魔法の場を作るため、カード占いを行うためにも用います。
素材は天然素材やレース、シルクなど祭壇に合わせて使用します。
水晶球
スクライングなどの占術に使われる場合や
祭壇のシンボルストーンとして魔法に力を借りることが出来ます。
普段は黒や紫などの布をかけておくと不要なエネルギーから守ることができ
布の素材はシルクが最良です。
スクライングに使用する場合はクラック(ヒビ)が入っているものの方が見やすいとされます。
水晶球は大変高価で
天然で透明度や大きさが上がるほどに値段も上がります。
小さくともスクライングをすることは可能だと言われています。
出来るだけ安価でもガラス製のものは避けます。
天然石
その石の持つパワーを祭壇にもたらします。
水晶には増幅の力があり、魔法の効果を高め
アメジストには霊性の力があり、霊視や霊性の魔法に力添えしてくれます。
ストーングリットを作る際やストーンサークルを使う際にも使われます。
箒や扇
箒と扇にはエネルギーを浄化する力があります。
箒で祭壇のある部屋の不要なエネルギーを掃き清めたり
扇の柔らかな風で浄化効果のあるインセンスの煙を行き渡らせることができます。
トング
香炉に安全に炭を配置する際に使います。
絶対に火をつけた炭を素手で触らないでください、熱いです。
やけどの心配がないよう十分に距離が取れるものを使用します。
スナッファー
キャンドルの火を安全に消すことが出来る専用の器具です。
アニミズムの精神では火を吹き消すことは火の精霊に対して失礼だと考えるため
スナッファーを使ってそっと消しましょう。
占い道具
タロットやオラクルカード、ルーン等
自身の扱えるものであれば好みで取り入れましょう。
占いはあなたが作りたい魔法の最善の形を示すのに使えたり
人々の力になるのに役立ちます。
すり鉢
主に魔法の調合に使われます。
ハーブをすりおろす際やインセンス、ポーションの調合など
活躍する場面は多いです。
10cm以上の幅で、十分に高さがあり
適度な重さのある石製のすり鉢は安定性があり非常に使い勝手が良いです。
野外で調合する必要がある場合は持ち運べるよう
木製や石製でも小さめのものを使います。
バスケット
ハーブを摘んだり、ドライにする際にも使用できます。
魔法の祝祭ではバスケットを使用するものもあるため一つ持っているといいでしょう。
ピクニックバスケットのように大きさがある程度あるものであれば
野外で魔法を使うために簡易的な祭壇道具を持ち運ぶのにも使用出来ます。
小瓶
これらは魔法を作る際に
材料となるハーブや石を安全に保管するために使います。
密閉できる容器であればあなたが作り上げた
魔法のインセンスや軟膏、ポーションを安全に保管できます。
容器は使用前に塩水に数時間つけて浄化するか、浄化のインセンスで清めておきます。
スプーン
これらはハーブを取り分ける、計測する場合や
魔法の調合で材料をかき混ぜるのに使われます。
魔法に影響しないよう金属は避けます。
ハーブは金属に触れた状態でいると魔力を弱めてしまいます。
そのため木製や陶器、ガラスなどを用います。
ここまで学べばお分かりかと思いますがプラスチック製は避けます。
ボウル
すりおろしたハーブを調合前にどこかに分けておきたい時がありますよね?
適度な大きさのボウルを複数用意しましょう
魔法の調合の際に材料を混ぜ合わせる場としても使えます。
鉄製は避けガラス製や木製、陶器、水晶などで出来たものを選びます。
ピペット
液体マテリアの正しい分量を量るために使用します。
魔法のレシピを作る際、2度目に作る時にも同じ効果を期待しますよね?
そのためにはしっかりと計測する必要があります。
漏斗
せっかく作り上げた魔法のポーション
小瓶に移す際に零すわけにはいきませんよね?
漉し布やフィルターをセットした漏斗があれば美しく調合できるうえ安心です。
量り
粉を図れるほど精密であれば心強いですが
一般的に使用される量りでも十分です。
魔法のレシピを研究する際はしっかりと計測し
素晴らしい効果をもたらしたものをいつでも再現できるようにします。
在庫管理ノート
魔法を長く続けていると棚がハーブや魔法の材料でいっぱいに。
マテリアの在庫が今家にどのくらいあるでしょうか?
ミントの葉の在庫が切れそうですか?
それとも余っていますか?いつ瓶に入れたものでしょうか?
このノートを作っておけば古くなりすぎた材料に感謝をこめて別れを告げたり
足りない材料をすぐに見つけられます。
今日の授業はここまでにしましょう。
少し長くなってしまいました、また便利な魔法用品を見つけることができたら
是非共有しましょう。
これらの魔法に使う用品は全て
日常で使うものと分けてください。
例えば、料理で使っている量りを魔法で使ったり
普段使う包丁をアサメイにするのは避けましょう。
魔法で使う道具は神聖なもので
それ専用にすることでより強い効果を発揮します。
少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。
またお会いできるのを心から楽しみにしています。